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ブラック・テラー / 三堂マツリ 第2話 感想・紹介記事

2018年発表作品で(個人的に)最も面白い『ブラック・テラー』(三堂マツリ:著)の各話感想・紹介記事(ネタバレ含む)を書いていきます。

短いページ数の中で繰り広げられる絵本のようなファンタジックな絵柄と、あなたの予想を裏切るスリリングな展開が織りなす極上のショートストーリーを是非ともお楽しみください。

 

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紹介

 

舞台は街の小さな映画館。ここでは毎週金曜日を”ホラーナイト”と称してホラー映画を定期的に上映している。今日も映画館へ足を運ぶ常連の学生は「ホラー映画が恋人だ」と言う。そんな彼は受付の男になぜホラーナイトの時ばかり受付に立つのか訊ねてみた。受付の男の答えもまたホラー映画が好きだからというシンプルなもの。

 

劇場への入場が始まる頃、受付の男はもう一人のスタッフ、スティーブンへインカム越しに話しかける。

「9番です」

それを受けてスティーブンは先程の学生に上映後席に残るようにと伝える。

 

映画の上映が終わりすべての客が退館した後も受付に立つ男。背後から聞こえる物音にに気付き振返ると、そこには血塗れになった学生の姿があった。

受付の男は息絶えた学生を見ながら微笑み、凶器を手にしたスティーブンに話しかけた。

「今回も素晴らしいですね」

 スティーブンは映画館へ来た客を殺害して楽しむ快楽殺人者、そして受付の男トビーは失踪しても騒ぎになりにくい被害者を選別する共犯者であった。学生を手に掛けたスティーブンは満足そうにこう言い放った。

「私が究極的に求めるものは 本物の恐怖だ」

 

また別のホラーナイトの晩。いつものようにトビーはスティーブンへターゲットの特徴を伝える。

「7番です 現在独り身 友人恐らくなし」

しかしスティーブンはその報告を怪訝に思う。なぜなら今夜の観客は6人しかいないのだから。

 

上映後。やはり客は6人しかいなかった。スティーブンは慌ててトビーを探すが、いつもの受付台にも、どこにも彼の姿は見えない。

その時インカムからトビーの声が聞こえた。

 

「スティーブンさん 聞こえますか」

 

「現在 独り身」

 

「ホラー映画が好きなのは私も一緒です」

「そして貴方と同じく私が求めるものも」

「本物の恐怖なのですよ」 

 

そして息絶えた彼の胸元には血で汚れた「STEVEN」の文字があった。

 

感想

第1話はサスペンスと見せかけたラブロマンスでしたが、今回は根っからのテラーとなりました。

「想定外の恐怖に慄く様子を見たい」というアプローチこそ同じなのに、一線を越えるか否かで全く別の結末が待っている。この対比構造も面白いのですね、単行本映えしそうです。

 

前半は活き活きとして輝いていたスティーブン氏、恐らくこの映画館の支配人なのだろうとは思いますが、結構しっかりと場内汚しちゃってますよね。しかも一般的には土日の方が映画館は忙しくなるだろうに、後片付けが大変そうです。

 

そして最後の大オチ。

これがやりたかったんだろうなー。怖いかどうかは別として、上手いなとは思いました。こういうウィットを効かせた感じ好きですよ。今回はこれを活かす為にインカムを通したり吹き出しを小まめに区切ったりと工夫も見えるし。

もしラッキーナンバーが13番だったりしたら狙い過ぎだったけど杞憂でした。

 

あとは私がホラー映画に関して寡聞なこともあり、拾えてない小ネタがいっぱいあるんだろうなぁと。白坂小梅ちゃんに解説してもらいながら読みたい。

トビー君が歯列矯正しているのはどんな由来があるのだろう?そのせいでポップコーンが抜けた歯に見えて仕方ない。

 

終わりに

これにて第2話の紹介・感想を締めくくります。

今回はテーマも構成もストレートだったため、ミステリーというよりはスプラッタ寄りな爽快感重視な読後感があります。

個人的には第1話の方が好きだけど、単純にマリィちゃんが可愛いからかもしれない。だって第2話、男しか出てこないんだもの・・・。

 

それでは次回も、なにとぞよしなに。

 

ブラック・テラー (バンブーコミックス タタン)

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