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道満晴明 既刊作品 単行本まとめ

先日は黒咲練導先生の作品群についてと、個々の作品の紹介について書きました。

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この流れから当然次の紹介作品はレセプタクルか放課後プレイ2だなぁ~なんてぼんやり考えていたのですが。

本棚の隣に置いてあった道満晴明作品を読んでいた所、不覚にも目移りしてしまいましたので。今回は道満晴明作品群について書きます。

 

ちなみに道満晴明先生、私の中では人にお勧めしにくいオススメ作家No.2にランクインしています。(No.3はpanpanya先生です。)

 

[:contents]

馴れ初め

以前、黒咲先生の作品に触れたのは某成人誌の超熱帯夜orgyでしたと書きましたが、道満先生の作品に触れたのも別成人誌での読み切り作品『ウェイトラヴァーズ』でした。

最初は「なんか淡泊な絵柄だなぁ」という印象でしたが、ページをめくるごとに繰り広げられるアンニュイかつ心の琴線に触れるエロティシズムに見事ノックアウトされてしまいました。なによりオチがいい、素晴らしい。

 

というわけで当時東京に住んでいた私はアニメイトとらのあなゲーマーズへ繰り出したのですが。まったく新刊が置いていない!(コミックZINならあったかも?)

そして意を決して乗り込んだのがエセサブカルの聖地ことヴァンガ村でした。

 

ありました。わざわざ作者特設コーナーまで用意されていました。既刊が全て揃っていました。ちょうど『性本能と水爆戦』シリーズが復刻された頃だったのでタイミング的にもぴったりだったのでしょう。

 

そんなこんなで「読み切りで感動した」→「とりあえず全巻買おう」という超衝動的大人買いかまして夜通し読みふけったのでした。

それでは以下、代表作を簡単に紹介します。

 

性本能と水爆戦

著者の成人誌掲載作の代表と言えるシリーズです。全編が単話完結の読み切りで、特に『最後の性本能と水爆戦』は一冊通して読めば道満晴明という作家の器用さ多様さ豪快さを思う存分味わえるでしょう。

 

成人誌への掲載という事もあり性的な描写もあるにはありますが、かなりコメディチックに描かれているのでエロに耐性が無い人でも読みやすくなっています。

じゃあまったくエロくないのかと言うとそうでもありません。ビジュアルを強調した肉体的なエロさではなくシチュエーションを重視した精神的なエロさが散りばめられており、読者の新しい性癖の扉を開いてくれることでしょう。

 

このシリーズを手に取る際には上記の『最後の~』と『性本能と水爆戦 征服』の2冊を読むといいでしょう。

 『~征服』は同誌掲載作品の内でも前期の発表作品が収録されており、今と比べると絵柄が古くビジュアルの個性もやや薄めです。内容としてはまだエロに対して真っ直ぐに向き合おうという気概が感じられるものの、描写よりもストーリーの組立に重点を置いており「深良いエロ話」といった感じです。少ししんみりするような話が多いです。

 

 一転して『最後の~』は後期作品が収録されており、全編でドーマニズムが爆発しています。過去に何人かの友人に読んでもらったのですが口を揃えて「これって本当にエロ漫画?」と言わしめました。

 

一応エロはある、ちゃんと恋愛を主軸に置いた作品もある。ただ主軸は恋愛でも味付けがスパイシーすぎてそれどころじゃないんです。私の地元の郷土料理”おやき”で例えると中身がピザソースみたいな感じです、美味しそう。蕎麦で例えるとつけ汁が担担麺のスープみたいな感じです、美味しそう。そんな美味しい作品です、是非ともご賞味あれ。

 

ぱら☆いぞ

ぱら☆いぞ1 (WANI MAGAZINE COMICS SPECIAL)

ぱら☆いぞ1 (WANI MAGAZINE COMICS SPECIAL)

 
ぱら☆いぞ2 (WANIMAGAZINE COMICS SPECIAL)

ぱら☆いぞ2 (WANIMAGAZINE COMICS SPECIAL)

 

 成人誌での読み切り作品が性本能シリーズとして一段落した後に始まった4コマ漫画です。はっきり言って、まともな大人が描いたり読んだりする作品ではありません。身体だけが成長して、理性と知性を義務教育の修了証とともに置き忘れてきてしまった逆コナン君だけに与えられる悪の経典です。

 

近い作品で例えると『妹は思春期』や『生徒会役員共』で知られる氏家ト全先生作品のサイコミュ強化版といった感じです。一冊まるっと下ネタだけの4コマでありながら、そのネタもえげつない。単体で見ると明らかに不快感を抱くようなネタが次々と投入されているのですが、それを上手に人間が食べられる味付けに整えてしまうのが道満マジックです。

 

後に挙げるニッケルオデオンやメランコリアを「きれいな道満」とすれば、ぱらいぞは「きたない道満」の極致にあります。それ故にカルト的な人気を博するシリーズでもあります。全2巻です。あずまん〇大王とのコラボもあります。カドカワと全面対決しています。これさえ読めれば他の道満作品はすべて読めるはずです。ちなみに私は性本能の次にぱらいぞを読みました、ほんと馬鹿・・・。

 

ヴォイニッチホテル

舞台は一般誌に移り、ヤングチャンピオン烈秋田書店)にて掲載された筆者初の長編シリーズがこのヴォイニッチホテルです。あらすじはwikiから引用以下の通り。

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南海の島に建つホテルを主な舞台とした、多くの個性的な登場人物たちによって織り成される人間ドラマである。南国のゆったりした雰囲気の中、直接的な残酷シーンは少ないものの、殺人や麻薬売買なども描かれている。死んだはずの人間が生き返って喋ったり、過去に死んだはずの死者が現れたりと、オカルトチックな光景も多い。

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先に全体の評価を申し上げますと、道満晴明先生の傑作(マスターピース)と呼んで差支えないでしょう。

当作品はグランドホテル形式と呼ばれる群像劇スタイルで構成されており、全3巻でありながら非常に多くの登場人物が描かれています。そしてホテルヴォイニッチを中心とした島内の様々な場所で色々な出来事が展開されます。

 

本当に登場人物が多種多様で、一人ひとりの個性が確立されており、エピソードも捨て回が無いというほどに高クオリティ。それでいて最終回にはそれらの出来事が収束されたとても綺麗な大エンディングが用意されています。

先述の性本能シリーズやぱらいぞ等でショートストーリーの創造力には定評がありましたが、それを連作として展開しつつすべてを纏め上げる構成力をいかんなく発揮しています。道満晴明作品の入門編として是非お勧めしたい一作です。 

 

 

ニッケルオデオン

上記のヴォイニッチホテルの後期と同時期にIKKI(小学館)にて連載が始まった短編集がニッケルオデオンです。この作品の特徴は全ての話が8ページに纏められているということです。どんなテーマであろうとも、過不足なく8ページ丁度で収めるという非常に難易度の高い取組に挑戦しています。 

 

ニッケルオデオン 赤 (IKKI COMIX)

ニッケルオデオン 赤 (IKKI COMIX)

 
ニッケルオデオン 緑 (IKKI COMIX)

ニッケルオデオン 緑 (IKKI COMIX)

 
ニッケルオデオン 青 (IKKI COMIX)

ニッケルオデオン 青 (IKKI COMIX)

 

 

こちらでは再び「いい話系単話完結ストーリー」が展開されており、いわばホームグラウンドへ帰ってきたといった具合です。しかし一方で、性本能シリーズでは見られなかった「続きモノ」にも挑戦しているのはヴォイニッチホテルという長編で培った"構成力"の逆輸入とも言えるでしょう。

それも単に登場人物・舞台が同一なものだけではなく、ある回のメインキャラが他の回のサブキャラや名前だけ出演、別の回の数百年後が全く異なる作風で繰り広げられるなど豊富なテクニックが満載です。

 

短編でありながら長編のような要素も併せ持つ、という意味で中編と呼んでもいい仕上がりとなっています。

1話8P×13話×3巻=312ページに凝縮されたドーマニズムを思う存分に堪能してください。すごく読みやすくて奥深いストーリーの数々に酔いしれる事間違いなしです。

 

他 各シリーズ

以降は現在連載中の作品であったり、ここまで書いて疲れたりといったエゴイスティックな事情により簡単な紹介のみとさせて頂きます。

 

『あやめとあまね』 

あやめとあまね (メガストアコミックス)
 

いろいろな作品で百合(っぽいもの)を描写してきた筆者にとって初の試みとなる全編百合な一冊です。成人誌での連載のはずなんだけどエロいシーンが全くなく、唯一拝めるのはヒロインを模したロボットの鋼鉄の胸部だけです。健全百合コメディをお楽しみください。

 

花とアリス殺人事件』 

花とアリス殺人事件 (ビッグコミックス)
 

同名の映画作品を原作としつつドーマニズム大回転させた、もはや公式アンソロジー本のようなもの。元がどんなものであれドーマニズムで味付けできることを示した一冊です。初心者入門にもお勧めです。

 

『オッドマン11』 

オッドマン11 (メガストアコミックス)

オッドマン11 (メガストアコミックス)

 

成人誌で現在連載中の一作。相も変わらずエロはありませんが(あるにはあるけどエロくない)面白おかしい仕上がりとなっています。スタートこそ男女恋愛だけど専ら百合コメディ。連載開始から1巻の発売まで5年かかりました、第2巻は2022年発売予定です。

 

メランコリア

メランコリア 上 (ヤングジャンプコミックス)

メランコリア 上 (ヤングジャンプコミックス)

 

珍しくウルトラジャンプ集英社)という正統派な雑誌で連載中の作品です。A~Zを表題とした全26話の短編集でゆるやかに滅亡へ向かう世界を描いた日常コメディです。作風はニッケルオデオン甘口といった感じなのですっきり読みやすい飲み口となっております。

 

『バビロンまでは何光年?』

ヴォイニッチホテルに引続きヤングチャンピオン烈にて連載中。少年とロボットと変な生物が宇宙を駆け巡る壮大なスペースオペラ!近日単行本が出そうな気配を醸しだしているかもし?

 

『スーサイドパラベラム』

推理小説雑誌メフィストにて連載されている漫画。掲載に時間がかかっていることと単行本が出ていない事からまだ読めていません。ネタバレサイトでなんとなくのあらすじだけは頭に入っているんですけどね・・・。

 

『さらに他シリーズ』

ファントムブレイブ、BoBo、VAVA、VIDE、くぢら、くらげ、かえでは紙の本が品切れの為に読めていません。まだまだドーマニストとしての修錬が足りなんだ・・・。

 

終わりに

マニアックな方向では熱狂的な支持を集める道満晴明先生の作品を紹介しました。

オリジナルからパロディまで幅広く駆使して独特の作品を生み出し続けています。作者自体はマニアック寄りな御方ですが、とっつきやすい話が多く中身は大衆向けなものばかりです。

 

まったく知らなかった方も、知ってはいたけど手が出なかった方も、この機会に是非ともお手に取ってみてください。

 

それでは次回も、なにとぞよしなに。