ついに公開となった劇場版 コードギアス 復活のルルーシュ を観てきました。
この記事ではネタバレを含みます。
まだ一回しか観ていないので考察とは程遠く、取り急ぎ感想を。
大丈夫という方は続きをどうぞ。
復活のルルーシュ 感想
今作の主題はTV版の心残りを解消することにあると思います。なので扇や玉城の活躍が多め。スザクはナイトメアを狩るマシーンのような。諸々のファンサービスを挟みつつ、ルルーシュとC.C.の歩みを描きました。
最初に言っておきたい。あくまでR2はルルーシュの個人的な目標の成就によって締めくくられており、二人の物語はこの映画によって完結します。
起 ナナリー誘拐〜嘆きの監獄
舞台はゼロ・レクイエムから1年後の完全平和な世界。とはいえ、時が経つと悲しいかな争い事を起こそうとする者たちも現れてくるもので。
ナレーションに「争いは人間の性」とあるように、闘争本能というやつが一つのテーマになります。ターンエーガンダムなんて闘争本能がすべての始まりになったわけで、ある種普遍的なテーマかなと。
所属不明部隊という事で、敵部隊が過去に登場したナイトメアフレームの寄せ集めだったのはファンサービス。中華連邦のガンルゥは砂漠向きって感じがしてよかった。もともと泥臭くて好きなデザインだったので。
で、場面は変わってカフェZERO2号店。R2のエピローグでカフェを開いた玉城は商才があったのか、無事店舗を増やせました。
子宝に恵まれた扇元首相と新首相かぐや様。まぁ京都六家のかぐや様の方が似合いますよね、素質とかカリスマとか明らかに上ですし。かわいいし。
その他にも過去キャラがぞろぞろと顔見せ。奇跡の藤堂さん、いい年こいて難聴系主人公気取ってる場合じゃないですよ!
その頃C.C.はルルーシュと世界中を放浪。R2のエピローグの続きからですね。
C.C.の手料理シーンで作画チェックしてしまうのは、もはやオタクの習性と言うべきか。あとチーズくん終身名誉マスコットが解任、悲しい。
で、気付いたら巻き込まれ戦闘に。まーた額を撃ち抜かれるC.C.。もはやお家芸ですな。にしても敵のギアスにまんまとかかって暴れ回るカレン。さすが人間の容姿を得ただけのゴリラ×飼い犬のハイブリッドは手が早い。
ナナリーのメイドというお役目を満了した咲世子は、もはやただの万能忍者。
ロイドさんのメガネバリアーは今作のギャグポイントその1。と思いきや、終盤まで活躍し続ける最重要ガジェットでした。
その頃とある牢獄ではスザクが拷問&研究されていた。ジルクスタンの王シャリオはスザクの変態機動を解析して利用するのだそう。それはともかく男の拷問シーンがあるアニメは名作。ボトムズなんて第1話からひたすら主人公がいたぶられてるし。
その少し後、Cの世界を交えた状況説明が入るのですが、相変わらずわかりにくい。のでシンプルな考え方を紹介。
・R2でシャルルと対峙したルルーシュは不死のコードをゲット。
・ゼロ・レクイエムで死ぬつもりだったが、肉体は一命を取り留める。しかし精神はCの世界へ旅立っていたのでC.C.が回収。
・ルルーシュがCの世界を崩壊させたので蘇生が不完全となり、ボロ雑巾ルルーシュのできあがり。
・仕方がないのでもう一度Cの世界へアクセスして復活させる。
さらにシンプルにすると。
・ルルーシュの肉体(PCやスマホ)は無事だけど精神(OSやアプリ)が損傷。Cの世界からの回収(バックアップ)に失敗した上、Cの世界自体が崩壊(クラウドサーバーがダウン)したのでアラムの門(物理HDD)を通して復活(再インストール)させる。
とまぁこんなところです。C世界が挟まれると思考が中断されて混乱する…。
話は戻って。アラムの門があるのは嘆きの監獄の最下層。とりあえずみんな揃って拘束衣にお着替え。
ここでルルーシュやC.C.が拘束衣姿になるのはTV第1話のセルフオマージュ!もあるけど、どうせスタッフの性癖ですね。隙あらばねじ込もうとするからなぁ。
アラムの門にたどり着いたルルーシュとC.C.はCの世界へアクセス。残った面々は門の防衛。
ここでルルーシュと目があったカレンが号泣。もちろんルルーシュが生きていた喜びもありつつ、抜け殻になった彼にリフレイン漬けとなった母の面影を見たのではないかと。
防衛の為にナイトメアを調達してきた咲世子を見て敵の銃撃を察知したカレン。さすがカレン、状況が読める!誰だ、犬とゴリラのハーフとか言ったのは!
ジルクスタンのバタララン・ドゥを乗り回す"ジャパニーズヤンキー"カレン嬢。バタララン・ドゥのシルエット好きだなぁ。ホィール移動するところが特にベネ。
善戦するも敵に捕まるカレン嬢。ベッドに縛り付けられるカレン嬢。様式美?いえ、スタッフの性癖です。
承 ルルーシュ復活〜決起集会
現実世界で押されている頃。Cの世界でもC.C.が強制送還されるわルルーシュがシャルルの残留思念(未練)に取り込まれるわ。帰ってきて早々胸にサザンクロスを撃ち込まれるC.C.。様式美?いえ〜
みんながピンチに陥るとやって来るのが主人公。復活早々中二病全開のギアス発動。劇場版発表当初は私も賛否両論でしたが、なんだかんだ言っても元気なルルーシュが観られて嬉しい。
手っ取り早く直近の危機を制圧すると、ついでに捕らわれていたスザクを回収。殴られてスッキリするルルーシュ。こいつらいつも熱いボディランゲージ交わしてんな。
建物のマップに映るのは複数の階層からなる監獄の全景。もしやこれは、伝家の宝刀"足場崩し"の再来か!と思いましたが正攻法で迎撃。
煽られて顔真っ赤の自信満々若造指揮官は、単独でスザク奪還へ向かうもサクラダイトの爆発で木っ端微塵。なんか似たようなキャラと似たような声のやつがオルフェンズにいたような…。
興奮冷めやらぬルルーシュ隊長はナナリー救出の為に協力を得るため、秘境ジルクスタンの奥地を目指した。
黒の騎士団のナナリー救出特殊部隊が潜伏する村に合流する一同。そこで待っていたのは懐かしのコーネリア妃。ルルーシュの協力要請にツンで跳ね返すネリ様。
しかしルルーシュが協力を取り付けるためにとった手段は皆に熱意を伝えること。今まで他人を思い通りに動かしてきた、いざ困ればギアスで乗り切ってきた彼の成長が垣間見える場面でした。
協力体制を取り付けた一同は決起集会と称して呑み明かす。玉城は酔っ払ってギルフォードに絡む、さすが宴会太政大臣。帰ってきたルルーシュを迎え入れた扇は日本を救ったゼロに感謝を伝える。そして彼を信じきれなかった詫びとして自害を試みる。それを止め、過ぎた事だと諭すルルーシュ。
もうこれは「扇を許してやってくれ」というスタッフのメッセージと受け取りました。ほんと一時期の扇ヘイトは目に余るものがありましたからね。
さらっと合流するオレンジ君とアーニャ。手土産はオレンジ。これこそまごう事なき様式美。
輪から外れたC.C.とカレンはルルーシュへの想いを語り合う。と思いきや、「特に言いたいこともなくて」と余裕をかますカレン。いいぞー、もっと正妻面してくれ。
命が無限だから大事な言葉を後回しにしてしまう、という会話が印象的。
櫓の上で作戦を練るルルーシュに声をかけるスザク。BGMのALI PROJECTが程良く薔薇っぽい雰囲気。高い所が好きってのはTV版でもちょくちょくありましたね。
かぐや様から渡されたのはジルクスタンの地形図。さすができる正妻は有能。同封されていたのは扇とヴィレッタの披露宴の映像。こういう平和な世界を守れたという実感は何よりも力になるはず。
転 ジルクスタン戦
相も変わらずルルーシュの作戦は綿密にして豪快。ギアスで操ったジルクスタン兵に反乱を起こさせ、撹乱している内にナナリーを救出する電撃作戦。全てが上手くいき、ジルクスタンの女王シャムナを追い詰めるルルーシュ。決着をつける為にシャムナを撃った瞬間、彼女のギアスが発動する。
死ぬ間際に時間を6時間巻き戻す能力。
いやー、時間操作系はラスボス御用達のチート能力っすよ。
そこからはひたすらトライアル&エラー。All You Is Killもびっくりな死に覚えゲーですよ。思えば冒頭の地中トラップも監獄も、これまでのジルクスタンの軍事行動は全てこのギアスでサポートしてるんだからそりゃ強い。
あらゆる手が潰されていく事に焦るルルーシュ。オレンジ君最大の見せ場すらすぐに修正されてしまう。見事に着地取りされるネリ姉様。
1周目は強力なMAP兵器で大暴れしてたのに、2周目以降は劣勢なスザクとカレン。まぁスパロボ向きの新武装貰えて良かったね、といった感じ。
カレンの相手は山賊上がりの高木渉。うーむ、野蛮人同士の闘いは見応えがありますなぁ。
ジャミングによって指揮系統を分断され窮地に陥る。絶体絶命。を打開したのは玉城による敵回線ジャック。
思えばルルーシュも初陣は敵機体の鹵獲と通信傍受から始まったし、ゼロを一番近くで見てきた男は伊達じゃなかった。玉城が最後まで戦線離脱しなかったのもポイント高い。
尚も繰り返されるイタチごっこに心が折れかけたルルーシュを叱咤するC.C.。ワガママな魔女に奮い立たされ打開策を探る。このシーン、わざわざ画面を縦のカットにしてまでC.C.のお尻を強調しているんですよね、ありがとうございます。
動きの無いシーンはお色気カットで視聴者の興味を失わせない巧妙な作戦に違いない!またはスタッフの性癖。
そっからは早回しでシャムナのギアスを逆探知。この辺の勢いだけで押し切ろうとする謎の緊迫感はお上手としか言いようがない。
結 決着〜エンディング
とうとう敵のギアスの予測を2つまでに絞り込むも、最後の決め手がない。うーむ、わからん!とりあえず賭けるか!
しかしまぁ、相手のギアスが死亡をトリガーにするのはマリアンヌで経験済みだったから良かったものの、余程じゃないと思いつかないよなぁ。それにしても相手の巻き戻し時間を9時間と推理して、戻りきれない10時間後に爆殺とは念の入ったことで。
スザクもシャリオとのナイトメア戦に決着。最後にちょっとだけ姉離れできたけど、ナイトメアで戦う道しか残されていないシャリオにとって敗北イコール死。何度も負けたけど絶対に死ねないスザクとの対比が際立つ。
ナイトメアを操縦できる類人猿同士の闘いは、シェルブリットのカズマがビッグマグナム高木をボコって終わり。そう思うだろ、あんたも。
あとはCの世界にナナリーをサルベージに行ってミッションコンプリート。いやぁ、やっぱナナリーが嬉しそうに喋ってるだけで泣いちゃうね、僕。メインヒロインの格を見せつけられた。
物語のラストシーン、最後まで食い込んでくる扇と玉城。ほんとにもう、この映画はこの二人の救済の為に作られたと言ってもいいでしょう。
最後の最後、ルルーシュはC.C.と共に旅に出る事を選ぶ。TV版ではC.C.が共犯者としてルルーシュを最後まで支えた。そしてこれからは、ルルーシュがC.C.の旅を支える。その決意の為のL.L.の名。
そしてエピローグはルルーシュの独白で締め。TV版冒頭のプロローグを持ってくるという谷口監督のお家芸。これがあるとスムーズに2周目へ突入できます笑
終わりに
所々で感じたこと。
・シャムナとシャリオはルルーシュとナナリーの対比。
・姉に依存する愛を示したシャリオと兄から巣立つ愛を示したナナリー。
ルルーシュは復活しようとした訳ではなく、現実世界で生きる人々の想い(あとユフィとかロロとか)によって復活させられた、というのが良い。
ルルーシュの死の覚悟が本物だからこそのゼロ・レクイエムであり、生き返ったのがトリックだったら興醒めもいいところ。この軸だけは守ってくれたから、TV版のファンも受け入れられた。いやー、本当に良かった。
トレーラー版だともっとオレンジ君が躍動してたと思うんだけど、あれは幻?幻視錯綜?
劇場版は扇玉城やルルーシュC.C.の心残りを清算するための作品なのでスザクが戦闘マシーンになりきってた印象。
メガネバリアもコーネリアのナイトメアも、緑色の万能シールドが無かったら詰んでる場面が多すぎた。途中でエナジーフィラーが切れたら、ってくだりを挟みつつ結局切れなかったのは不満点。星刻の死ぬ死ぬ詐欺を彷彿とさせるものがある。
でもまあエンドイラストの天子様が可愛かったのでオッケーです!
そんな具合で、概ね良くできていました。R2で綺麗さっぱり終活したルルーシュの墓を掘り起こすのはどうかと思ったけど、これだけ面白ければ満足です。
どんな形であれ、好きなコンテンツが長続きしてくれるのは嬉しいですね。
それでは次回も、なにとぞよしなに