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善光寺のお膝元 三河屋洋傘専門店の傘

 今年の長野は雪が少なく、傘はなかなか出番がありません。今日は天気も良いので傘の陰干しがてら、写真を撮りました。

 

 私が愛用しているのは地元長野の個人店舗で手作りされている洋傘です。

 

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三河屋洋傘専門店とは

 三河屋洋傘専門店は善光寺仲見世通りの大門から徒歩1分に店を構える老舗の洋傘屋。建物は明治時代から受け継がれてきた所謂古民家で、軒先にはずらりと傘が並んでいます。店主兼職人の北澤さんは御歳85となる三代目で、夫婦2人で傘の手作りを続けています。

 

 この北澤さんがまたお喋り好きでネタがいろいろあるのですが、それはまた別の機会に記事にしようと思います。

 

甲州織の傘専用生地

 実はこの傘、それほどお安いものではないのですが。

 

 その理由の一つが傘の生地。

 

 かつて傘作りが盛んであった山梨県富士吉田で今も作られているポリエステル100%の甲州織。非常に肉厚で丈夫、さらに発色が良く渋い光沢を放ちます。 

 また写真で注目していただきたいのは傘のふち際です。縫い目が全くないのがおわかりでしょうか?

 

 一般的な傘は補強の為に折り返して縫うのですが、傘専用に織られた甲州織は縫い目がありません。

(紳士アイテムの殿堂、新宿伊勢丹メンズ館で傘を一通りチェックしましたが、すべて縫い目がありました。)

 

 隣県山梨と地元長野のコラボレーションに、傘を開くたび嬉しくなってしまいます。

 

4本の傘

1本目は黒

 最初に買ったのは表が黒無地、裏が黒白ストライプのシンプルなもの。ちなみにお店の既製品では一番高額なやつでした。

(三河屋さんでは持ち込み生地のオーダーもやっているようです。値段は詳しく知りませんが)

 

 なぜ最初からクライマックスで攻めたのか。

 話を伺うと北澤氏は後継者を残さず、当代限りで店を閉める考えとのこと。増してや、当時既に80歳を超えていらっしゃいましたので、不敬ながらいつ傘が買えなくなるかもわかりませんでした。結果的には今もお元気でバリバリ傘作っていらっしゃしますが。

(以前お話しした時点での内容です。今現在どうお考えかはわかりません。)

 

 そんな状況であれば、欲しいものはある内に買って使い込むのが最善策!というわけで黒傘を選びました。

 

 立ち話。表裏ともに黒無地の傘は無いのかと訊ねたところ

「それは長野オリンピックの時に天皇陛下に献上したから、同じ仕様は作っていない」

とのお答えでした。

 

 マジか……?

 

 北澤氏曰く

「うちの傘は80年使える。大事にしてやってくれ」

とのこと。

 

 日頃からスーツや革靴を手入れしている方なら共感していただけると思いますが、職人ご本人からこんな事言ってもらえたら燃えますよね。

 

 早速傘の手入れ方法をググって大事に使っています。既に数年経ちますが、撥水力が落ちる気配がありません。

 

2本目は紺

 

 道具を永く使いたいならローテーションは必須。という言い訳をしながら、黒傘に惚れ込んだ私は2本目を買いました。

 

 2本目は紳士服のど真ん中、ネイビーをベースにした竹柄の傘。

 

 表は全面ネイビーに縁がゴールドベージュ、裏は配色が逆転しているもの。これがまた優雅で、すっかり虜になってしまいました。

 

 あまりに嬉しくて行きつけのテーラーで話しこんでいると、似たような色の裏地を発見。その場でネイビースーツの注文を即決しました。

 

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 後日このスーツと傘を合わせて三河屋さんを訪れたところ大層喜んでいただけました。

 

3本目はゴールドベージュ

 

 しばらく経つと禁断症状が出てきたので3本目を探しに行きました。なかなかめぼしい柄がなく悩んでいると、北澤氏が先週出来立てというベージュの傘を出してくださいました。

 

 価格は1本目の黒傘と同じで持ち手の素材が栗の木になっているもの。最初は女性物っぽい色味に慣れなかったのですが、開いてみると裏側が緑色。

 

 傘を使用するとき、本人の目に映るのは表地よりも裏地の色。この裏地に私が好きな緑色が配されているなんて。

 ずるい!惚れた!買った!

 

 この傘を使うときは、それはもう優雅な気分に浸れるのでございますことよ。

 

4本目はモスグリーン

 

 さすがに本数も増えてきて次の一本に踏み出せないでいた頃、兄が誕生日を迎えました。これはチャンスと兄を連れて三河屋さんへ。

 

 長々と雑談を経た後に兄が選んだのはモスグリーン。ちょうど私が次に狙っていた色です。兄にプレゼントとして贈りつつ、自分用としても一本買ってしまいました。

 

 先日実家で鉢合わせた際に、この傘を持っていてくれて嬉しい気持ちになりました。

 

終わりに

 こうして改めて書き出してみると、私が選んだ一本一本にストーリーがありました。もちろん飾っておくコレクションではないので、ローテーションしてすべて使っています。

 

 80年は使えるという傘。傘がダメになるか私がダメになるか、チキンレースと洒落込もうではありませんか。

 

 傘を買って以来、雨の日に気分が落ち込む事が少なくなりました。良い靴と良い傘は、あなたを素敵な場所へ連れ出してくれます。

 

それでは次回も、なにとぞよしなに