下記の記事で私のスーツへの想いの丈を語りました。
その中でジャケット×シャツ×ネクタイの色・柄合わせに言及したのですが、文章が収まりきらなかったのと参考になる写真が欲しかった為に今回の記事へ引継ぎとなりました。
初めに
・ジャケットはネイビー無地・チャコールグレー無地・グレーグレンチェックの3パターンを撮影しました。
・シャツはホワイト無地・サックスブルー無地・ブルーブロックストライプの3パターンを撮影しました(ストライプは柄合わせ編のみ)。
・ネクタイは汎用性の高いと個人的に考えている9種を撮影しました。
・一晩でまとめて撮影したため、ノットやジャケット、シャツ襟に崩れが多く見受けられます。あくまで色・柄のイメージを掴む為の写真ですのでクオリティには目をつむって頂けると幸いです。
以上、同シリーズのテンプレートとさせて頂きます。
コーディネート例
それでは実際にコーディネートを見ていきましょう。
ネイビータイ
(1)
#今日のVゾーン
— 一騎 (@aerodyne0739) 2019年2月25日
無地タイ週間1日目。安定のネイビーからスタート。 pic.twitter.com/nKl9Go838p
(2)
#今日のVゾーン
— 一騎 (@aerodyne0739) 2019年1月21日
週の初めはブルーグラデーション pic.twitter.com/LVacAPJ9YY
まずは王道とも言えるネイビージャケット×ネイビータイ×白・サックスシャツの組み合わせです。
一番最初に取り上げておきながらこう言ってしまうのもなんですが、会社に行くなら毎日この組合せだけで十分です。
というのも、スーツ好きの間では「タイはネイビーに始まりネイビーに終わる」と言われる程にネイビーのタイは万能選手です。
これからネイビージャケットを何色かのタイと組み合わせるのをご覧いただきたいのですが、ネイビーという色はどんな組み合わせにしても大きく外れるという事がありません。つまり、ネイビーのタイもまた様々な色合いのジャケットやシャツと馴染みやすいという事でもあるのです。
またスーツスタイルでの基本的な原則として
・色はコーディネート全体で2色、もしくは3色に抑える。
・柄はコーディネート全体で2種程度に抑える。
という2つがあります。
写真をご覧いただくと(1)は「2色(紺・白)1柄(無地)」、(2)は「1色(青系)1柄(無地)」となっています。
さらに加えると、白シャツもまた様々な色との合わせがしやすく、かつ清潔感も有る為に(1)の組み合わせは非常にクラシックな雰囲気を醸し出しています。
一方で(2)のサックスブルーは服飾評論家"落合正勝"氏曰く「黄色人種であるアジア人の肌には青いシャツが一番似合う」と言わしめるほど、使い勝手の良いシャツです。その上、ジャケット・シャツ・タイが青系のグラデーションとなっている為に統一感が生まれています。
もし「スーツスタイルにこだわりはないけど最低限の体裁だけは整えておきたい」という人がいるのならば、私は(1)と(2)を3セットずつ揃えてローテーションすることをお勧め致します。それくらい万能で鉄板な組み合わせです。
ブラウンタイ
(3)
(4)
#今日のVゾーン
— 一騎 (@aerodyne0739) 2019年1月25日
今日は王道を征くアズーロエマローネ pic.twitter.com/1mZMqU4YUw
次に合わせたのはブラウン、茶色のタイです。
順番が前後しますが、このタイが効果を発揮するのは(4)の組み合わせです。
(4)は青系×茶系の組み合わせなのですが、これはイタリアで”アズーロ エ マローネ”と呼ばれるものです。アズーロは「青空」、マローネは「栗」を意味しており、爽やかさと落ち着きを兼ね備えた得も言われぬ印象を与えてくれます。
そんなアズーロ エ マローネを強く打ち出したのが(4)の組み合わせです。シャツが青空を、タイが栗を請負い、シャツとグラデーションになるネイビージャケットが全体を包み込む。そんなお手本のようなコーディネートとなっています。
もちろんネイビーも広義としては青系の色に含まれますので(3)のようにジャケットとタイでアズーロ エ マローネを表現するのもいいでしょう。この際にも白シャツであれば青と茶のコンビネーションを邪魔することなく纏めてくれます。
使い分けとしてはアズーロ エ マローネを上品に打ち出したい時には(3)を、強く表現してラテンな気分に浸りたい時には(4)を選択すると良いでしょう。
レッドタイ
続いてご覧いただくのはワインレッド、赤色のタイです。
赤色はインパクトが強く、ネイビーやブラウンと比べると派手な印象になりやすいです。その為、何にでも合わせやすいとは言えませんがそこはテクニックで補いましょう。
そのテクニックというのが”色相環(しきそうかん)”を用いるというものです。
上記の図のように赤と青の組み合わせは対照色として納まりが良く、(5)はすべて無地で統一している為に”全体的に上品な中にワンポイントを加えた”という仕上がりになっています。
(6)も同様ですが、個人的には(5)の白シャツの方が高級感のある仕上がりになっていて好きです。
グレータイ
(7)
(8)
続いて紹介するのはグレー、灰色のタイです。
これまでの3色と違い、この灰色はコーディネート上では白や黒と同様に無色(無彩色)と見なされます。つまり(1)(2)の説明で挙げた「3色以内に収める」というルールに縛られにくい組合せができるという事です。
この見方をすると(7)は「2色(青・無)1柄(無地)」という非常にシンプルな組み合わせとなります。 一口にグレーと言ってもシルバーグレー(白寄り・薄い)からチャコールグレー(黒寄り・濃い)まで様々です。様々なパターンを試してみるのも面白いでしょう。
グリーンタイ
(9)
(10)
#今日のVゾーン
— 一騎 (@aerodyne0739) 2019年2月27日
無地タイ週間3日目。新緑芽吹く春はもうすぐ。 pic.twitter.com/GipmTZ6iLG
ここでちょっとした飛び道具として紹介するのはグリーン、緑色のタイです。
こう言ってはなんですが、グリーンは少し組み込みにくい色です。というのも、
先述の色相環において馴染みの良い組合せは対照色と類似色と言われています。この内、対照色においてグリーンの相方になり得るのは青系と赤系ですが、(5)(6)で見て頂いた通り、赤系は主張が強くなりやすい色です。
また類似色においても相方となるのは黄系と水系であり、これも衣服に取り入れると派手になりやすい色味です。
このように、グリーンは対照色・類似色という観点からではなかなか使い勝手の良い相方が見つかりづらい色となるのです。ただ唯一、スーツスタイルとして取り入れやすいのが青系かつ汎用性の高いネイビーです。
よって、グリーン系のタイを締めたい時にはネイビージャケットと合わせるのが無難でしょう。さらに言えば、そもそもグリーン系のタイを締めないのが無難でしょう(笑)
でも好きなんです、グリーンを刺したコーディネート・・・。基本的にはビジネスよりカジュアル向きと言っても良いかもしれません。
ネイビードットタイ
(11)
#今日のVゾーン
— 一騎 (@aerodyne0739) 2019年3月12日
お出かけしてました。一応、ビジネス勝負コーディネート。 pic.twitter.com/ABtjPDikUu
(12)
ここからは柄の入ったタイと合わせたコーディネートを紹介します。
まず柄入りタイとして一番使い勝手が良いのがこのネイビー×ドットのタイです。
ドット柄は小紋(こもん)系に属し、無地にはない遊び心を入れつつも派手になり過ぎないという良い所取りの万能選手です。写真のタイはドット自体も小さく、ネイビーの色味も暗めな為に非常にクラシカルな佇まいを醸し出しています。
ビジネス用としてはもう少しドットが大きくても許容範囲内かもしれませんが、あまりに大きすぎるとカジュアル向きになっていくのでご注意ください。
(11)はジャケットとタイのベース色にネイビーを、シャツとドット柄にホワイトを用いた2色コーディネートとなっています。分類すると「2色(紺・白)2柄(無地・小紋)」となります。
私がスーツスタイルに本格的にのめり込み始めた当初は(1)~(10)のような無地合わせを着まわしていました。しかしその内に遊びが欲しくなり、最初に手に入れた柄タイがこのネイビードットでした。
その為、私は「柄タイへの第一歩は小ドット柄に限る」と考えています。
ネイビー小紋タイ
(13)
(14)
#今日のVゾーン
— 一騎 (@aerodyne0739) 2019年2月19日
ネイビー週間2日目。いきなり飛び道具だけど、ネイビータイということで!よしなに pic.twitter.com/KrEtYsaO2Q
続いても(11)(12)と同様にネイビーベースの小紋柄ですが、先ほどより派手目なものをチョイスしました。
写真の画質が良くないので拡大してもわかりにくいかもしれませんが、細かいドットは”座っている猫”です(笑)。ただあまり柄の一つ1つが大きくない事と同系色の為に必要以上に派手な印象は受けません。
特にご覧いただきたいのは(14)です。これはジャケットとタイのベース色にネイビーを、シャツと猫柄にサックスブルーを拾うことで統一感を出しています。言うなれば「1.5色(紺・青)2柄(無地・小紋)」です。
・・・まぁ、自己満足の領域ですね・・・。
ネイビーレジメンタルストライプタイ
続きましてはレジメンタルストライプ柄のタイとの組み合わせです。
この”レジメンタルストライプ”という柄、使いやすいデザインである一方でいわくつきでもあります。
このスタイルの柄が”レジメンタル”と呼ばれる由来ですが、本来レジメンタルは軍隊における”連隊”を表す単語であり、実際に自身の所属を表す記号として用いられていました。その名残から現在でも海外の大学では校章をモチーフにしたレジメンタルタイ等が存在しており、言い換えるとレジメンタルストライプは自身がなにかしらのグループに所属していなければ着用を控えるべきなのです。
という小ネタはスーツ好きの間ではあまりにも有名であり、熱心な信者が存在するのも事実のようです。
しかし一方で、私を含めた大多数の人間にとってスーツの入り口となりうる就活において、まず着用されるのはこのレジメンタルストライプです。
写真のタイはネイビー・パープル・ホワイトからなる大人しい色合いのものですが、世間にはカラフルなレンジメンタルタイが多数存在しています。そして余程派手な物でない限り、レジメンタルは様々な色を効果的に拾うことが出来るのでとても便利です。
と、甲乙つけがたいレジメンタルですが、私の見解は以下の通りとなります。
めんどくさいのでレジメンタルはしない。
便利ではありますが、レジメンタル主義者のゴタゴタに巻き込まれるのも嫌なので、基本的にレジメンタルタイは着用しません。
私は現時点で40本程度のタイを所持していますが、レジメンタルストライプは2本だけです。それらも両方とも頂き物の為、自発的に入手したものはありません。
とはいえ全く着用しないのも勿体ないので、たまの気が向いた時に着用しています。私とレジメンタルタイはこれくらいの距離感が丁度良いと思っています。
ブラックウォッチタイ
最後になりましたが、飛び道具としてブラックウォッチタイを紹介します。
ここでブラックウォッチが出てきて「おや?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。というのも、この柄は”キング・オブ・レジメンタル”と言っても過言ではない程にバリバリのレジメンタル(連隊)タイだからです。
このパターンの柄はブラックウォッチ(黒い見張り役)と呼ばれ、通称ハイランダー兵の所属章として使われていました。
(上記リンクの中段「第42連隊」をご参照ください。)
(15)(16)のレジメンタルストライプタイの項目で「所属云々の下りがめんどくさいのでレジメンタルは控えています」と書いておきながら、このようなTHEレジメンタルなタイを堂々と所持しており申し訳ありません。
というかむしろ、ハイランダーに憧れてブラックウォッチを買ったと言っても過言ではありません。もともと柄もかっこいいしね、仕方ないね。
さて組合せの解説ですが、(17)は「2色(紺・緑)2柄(無地・タータンチェック)」となっています。この柄であれば私が好きで、かつ組合せ辛いグリーンを無理なく取り込むことが出来ます。基本的にカジュアル向けの組合せとなりますので、休日のジャケパンコーデなどで試してみましょう。
終わりに
さて、ここまでネイビージャケット×シャツ2種×タイ9種の計18パターンを紹介しました。皆様のお気に留まる組合せはあったでしょうか。
上記では紹介しませんでしたが同じ色でも彩度を変えることによって印象も大きく変わりますので、店舗等で実際に合わせて違いを比べてみるのも楽しいです。
最後に余談を。
私は基本的にスーツは無地や地味な柄の物を選ぶようにしています。
世間には派手なジャケットやトラウザースが溢れていますが、全身の表面積における割合がとても大きい為、あまりに派手な柄を選んでしまうと取り返しの付かない事になる恐れがあります。
一方でシャツやタイであれば多少派手な物を選んでも露出面積が少なく、他を無地で組み合わせることによって派手になり過ぎるのを抑えることもできます。
またよっぽどのことが無い限りシャツやタイの方が価格も安いので、万が一失敗したとしても損害が小さく済みます。
このことから私はスーツは控えめを中心に、遊びを入れたい時はシャツ・タイを変える。というのをモットーにスーツライフを過ごしています。
いつになるかわかりませんが、次回はチャコールグレーのジャケットで同様に18パターンを紹介していきます。
それでは次回も、なにとぞよしなに。
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